両刃カミソリの魅力
みなさんは、髭やムダ毛を何で剃っていますか?
上の写真は、私が毎日使っているシェービング道具一式です。左がシェービングジェル(サクセス)で、右が両刃カミソリホルダ(Merkur 334C)です。両刃カミソリホルダとは、下の写真の様な両刃カミソリを使用するための道具です。
上の箱に両刃カミソリが保存されていて、下が両刃カミソリです。
両刃カミソリホルダ Merkur 334C のアップです。
334Cでは、柄の下端のネジを回すと上部の両刃カミソリを固定する部分が分解できます。
分解したところです。外した部品に両刃カミソリをはめてから元に戻し、柄の下端のネジを締めれば両刃カミソリの固定は完了です。
では、両刃カミソリの魅力について語りたいと思います。
両刃カミソリの魅力は深剃りの爽快感とコスパの良さでしょう。
両刃カミソリに限らず、カミソリによるウェット剃りは深剃りが大きな魅力です。電気シェーバーの甘過ぎる剃りに不満を持つ方は多いのではないでしょうか。私は両刃カミソリにする前は深剃りで有名なブ○ウンの電気シェーバーを使用していました。朝の6時に電気シェーバーで剃っても、10時間後である午後4時頃には顎が紙ヤスリの様にザラザラしてくる事が非常に不快でした。ところが両刃カミソリですと前日の入浴直後の午後8時に剃ったとしても20時間後の午後4時頃になっても顎があまりザラザラしません。もちろん、髭の伸びる速さや深剃りの度合いには個人差がありますが、少なくとも私は電気シェーバーよりも両刃カミソリの方が遙かに深剃りできている事を実感しています。
あと、最近は多枚刃のカートリッジ式カミソリが流行っていますが、正直、これは私は二つの理由で好きになれません。一つ目の理由は、おそらく多枚刃の目的が肌への負担軽減だと思われますが、それにより剃り味が甘くなっていると感じる事です。ウェット剃りの初心者には怪我の防止で良いのかも知れませんが、深剃りを求める人には適さないと思います。二つ目の理由は、多枚刃のカートリッジが高額でランニングコストを考えると経済的ではない、という事です。八個入りで四千円とかは尋常でないと思います。
そこで、両刃カミソリの二つ目の魅力がコスパの良さです。私が使用しているフェザーの両刃カミソリは、十枚入りで五百円弱であり、近くのドラッグストアなどで直ぐに手に入ります。ネットで見ると、両刃カミソリは一週間程度で替える方が多い様ですが、私は一週間に一度、カミソリの刃を綺麗に洗うことで、一ヶ月ほど持たせています。よって、私の場合の刃の年間ランニングコストは六百円ほどです。
なお、両刃カミソリを使用する際に必要な両刃カミソリホルダですが、私が使用しているMerkur 334Cは八千円弱で入手しました。一般的な電気シェーバーよりかは遙かに安価かと思います。しかも構造がシンプルで壊れにくそうですので、一生モノだと思えば非常に安いと言えるでしょう。
ちなみに、電気シェーバーには深剃りができない他にも、外刃や内刃などの部品が高額というデメリットがあります。実は両刃カミソリに代えた切っ掛けは、電気シェーバーの外刃の破損でした。外刃を買い換えようと思ったら数千円もする事に驚き、購入をためらいました。そしてネットで調べていたところ両刃カミソリの存在を知り、現在に至っています。
さて、ウェット剃りをためらう方の一番の懸案は、時間が掛かる事ではないでしょうか?動画サイトなどで両刃カミソリの使い方を見ていると、十五分くらい掛けて丁寧に剃る方法が紹介されています。確かに時間を掛ければ綺麗かつ安全に剃れると思いますが、ここまで手を掛けてしまうと毎日はできないと感じるのは自然だと思います。ちなみに、私のシェービングの時間は三分程度です。なので、大して手間が掛かるとは思っていません。私が実践している、両刃カミソリで時短するポイントは三つあります。
一つ目は入浴直後に剃ることです。ウェット剃りではあらかじめ肌を温めて毛根を開く事で、安全な深剃りを実現しますが、わざわざ髭剃りのためだけに温かいタオルを当てるのではなく、単に入浴直後に剃れば余計な事を考える必要はありません。浴室で剃るのもアリですが、鏡が見づらいという欠点がありますので、私は入浴直後にしています。
二つ目は市販のシェービングジェルを使用する事です。動画サイトでは、ブラシでソープを泡立てる方法から紹介されている場合があります。週末の時間のある時であれば良いですが、正直、そんな事は毎日はできません。それよりも、シェービングジェルを使えば泡立てる様な手順は不要ですし、直ぐに剃る部位に塗るだけで髭が柔らかくなり潤滑効果も出て剃りやすくなります。その上、剃った後はシェービングジェルの成分の効果で爽快です。
三つ目は両刃の二つの刃を使い分ける事です。片方の刃で順剃りを全体的に行い、それが終わったらもう片方の刃で逆剃りをします。いちいち刃をゆすぐ事なく、一気に行う事がポイントです。動画サイトでは少し剃るたびに丁寧に刃を洗っていますが、私はそんな面倒な事はしていません。刃をゆすぐのを省いたら、シェービングが急激に時短できました。なるたけ片方の刃で剃った上で、温存していた刃で綺麗に仕上げる、そういうイメージです。こういう考え方ができるのは両刃カミソリならではのメリットだと思いますし、この方法でも、少なくとも電気シェーバーより遙かに深剃りできます。
最後に、これから初めて両刃カミソリを使用する方に伝えておきたい事があります。初めて剃る時は間違いなく流血します。私も血がダラダラ流れました。でも、気にする必要はありません。大して痛くはないですし、傷は直ぐに治ります。シェービングの技術は慣れれば直ぐに向上しますし、そもそも同じ刃を三日ほど使うと多少丸まって肌は切れにくくなります。初めて剃る時は、人と会う予定がない時を選ぶ事を強くオススメします。そして慣れてから日常的に両刃カミソリを使う様にすれば良いと思います。焦りは禁物です。せっかく両刃カミソリに興味を持っても、最初に誰もが通る流血の洗礼で足が遠のいてしまっては、非常にもったいないと思うのです。
以上、両刃カミソリの魅力について語ってみました。少しでもご参考になれば幸いです。
Apple Watch のバンド
これまでApple Watchを、機能面から紹介してきました。今回は見た目、バンドについてです。
Apple Watchの魅力の一つとして、バンドの着脱が容易であり、気分やファッション、TPOに合わせてバンドを替える事で、いつでもApple Watchを身に付けられる事が挙げられます。ボタンを押しながらバンドを横にスライドさせるだけで、Apple Watchからバンドが外れ、またバンドをApple Watchにスライドさせて差し込むだけで、バンドが定位置で固定されます。バンドは純正品だけでも豊富なラインナップがあります。
私が使用している二本のバンドを紹介します。
一本は、「スパイシーオレンジスポーツバンド」です。プライベート用で気に入っています。Apple Watchを店頭で見ていた時、この色にビビッときました。明るい発色でありながら派手すぎず、肌に馴染む感じの色合いに惚れました。なお、心理学的には、オレンジはエネルギーに満ちあふれてポジティブになり、ヒーリング効果もあるそうです。自分のApple Watchを見ていると、元気が出る気がします。
Apple Watchのスポーツバンドは、一般的な革製やラバー製の腕時計のバンドとは異なり、留め具の機構が独特です。形状がシンプルな上、バンドの先端を収納する様になっているため服に引っ掛かる事がなく、非常に機能的で気に入っています。
もう一本は、「ブラックスポーツバンド」です。フォーマル用です。できればスパイシーオレンジを使い続けたいのですが、やはりTPOを考えるとそう言う訳にもいかず、このバンドも購入しました。ちなみに、Apple Watchを購入する時にバンドでブラックを選択すると、Apple Watchは金属部も黒く塗装されたモデルになります。正直、全てが真っ黒なそのモデルは、私の琴線に触れませんでした。金属部は黒くない方が私としては好みでしたので、敢えてブラックのバンドを別に買いました。常に身に付けるものですので、色で妥協はできませんでした。
まだ持っていないバンドでは、ステンレス製メッシュを素材とした「ミラネーゼループ」が興味あります。デザイン的にはそそられるのですが、いかんせん、庶民にはバンドのみで15,800円 (税別) は高額です。また、金属製のメッシュと言うことで、服などに引っ掛かかる、MacBookのパームレストに傷がつく、といったレビューをネットで見ていると、購入を躊躇してしまいます。
Apple Watchには、様々な感性や場面にフィットするバンドが用意されていると思います。バンドを替えるだけで、Apple Watchの印象がガラリと変わるのは驚きです。ご興味がありましたら、可能であれば、店頭で実物を見る事をオススメします。やはり、ネットでは発色具合や質感は伝わらないと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
Apple Watch Series 3 の便利なサードパーティー製アプリ
Apple Watch Series 3を使用してみて便利だと感じた、8個のサードパーティー製アプリ (iPhoneのApp Storeで入手する) を紹介します。標準アプリについては、前回の記事をご覧ください。なお、有料アプリはiPhoneへのインストール時に課金されますが、Apple Watchへのインストール時は別途課金される事はありません。
■1. Yahoo!防災速報
無料の防災速報アプリです。地震やJアラートなどの情報を表示してくれます。いざと言う時に備えた必須アプリです。
■2. Awesome Voice Recorder PRO
有料の録音アプリです。無料版もありますが、機能に制限がない有料版がオススメです。録音が必要になる場面は突然やって来ます。Apple Watchで本アプリを使用すれば、手首の上の少ない動きで直ぐに録音が開始できます。録音した音声はDropboxなどのクラウドに保存できます。いざと言う時に備えた必須アプリです。
■3. AutoSleep
有料の睡眠管理アプリです。Apple Watchを手首に装着したまま寝るだけで、睡眠に関する情報を収集してくれます。寝る前に操作は必要ありません。収集された情報はiPhoneで確認します。入眠時刻、起床時刻、睡眠時間、良質な睡眠時間、深い睡眠時間、心拍数をグラフと数値で表示してくれます。睡眠のリズムや質を可視化できます。
■4. Pedometer++
無料の歩数計アプリです。Apple Watchの画面に登録し、直ぐに歩数を確認できるようにしています。iPhoneで履歴管理ができ、連続記録が見れるなど、運動習慣のモチベーション維持に有用です。
■5. 駅.Locky
無料の電車の時刻表アプリです。最寄り駅を自動検索、電車の発車時刻や、発車までの時間が表示されます。電車に乗るまでの時間に余裕がない時は、iPhoneを触る余裕すらない事が多いです。そんな時は、手首の上だけでサクっと確認できるのは便利です。
■6. カメリオ
無料のニュースアプリです。あらかじめ自分の興味があるテーマをiPhoneで設定すると、該当するニュースの概要がApple Watchで表示されます。記事が気になったら、「クリップ」をタップします。詳細はiPhoneで読む事ができます。
■7. Evernote
無料の情報収集アプリです。ただし、サービスに応じた有料プランがあります。PCやスマホ、タブレットなどで利用している方は多いと思います。Apple Watchに話すと文字に変換されて、ノートが作成できます。ちょっとしたアイディアやToDoなどの備忘録として有用です。
■8. Shazam
無料の音楽認識アプリです。音楽が流れている環境で実行すると曲情報が表示されます。その上、iTunesで購入したり、Apple MUSICで聴く事まで可能です。例えば、テレビ番組やコンビニなどで流れている曲が気になったら、その場で曲名を知り、直ぐ聴き始める事ができます。
以上、ご参考になれば幸いです。
Apple Watch Series 3 の便利な標準アプリ
Apple Watch Series 3を使用してみて便利だと感じた、13個の標準アプリ (Apple Watch購入時、既にインストールされている) を紹介します。サードパーティー製アプリについては、改めて紹介します。
■1. 時計
デジタルかアナログのいずれかで表示します。世界時計もあります。また、腕時計の表示を実時刻より5分とか進めている人がいますが、Apple Watchでは任意に表示時間を進める事ができます。
■2. 電話
iPhoneを探す事なく電話を受ける事ができます。Apple Watchを装着していれば電話を逃すことはありません。もちろん、電話をかける事もできます。連絡先に入っている電話番号であれば、例えば、Apple Watchに「Hey, Siri, 自宅に電話」と言うだけ電話できます。それ以外の電話番号でも、音声入力であるSiriやタッチ操作で電話できます。
■3. メール
Gmailやキャリアメールなどを読む事ができます。メールの新規作成はできませんが、返信はできます。Apple Watchに話すと文字に変換されます。
■4. Wallet (Apple Pay)
モバイルSuicaやiDなどが使えます。駅の改札では、Suicaの読取り部にApple Watchの画面部をタッチするだけです。改札へ入る前の操作は一切必要ありません。お店のレジでiDで支払う際は、Apple Watchのサイドボタンをダブルクリックした後に、レジの読取り部にApple Watchの画面部をタッチします。画面のタッチ操作は必要ありません。ただし、いずれも事前の設定が必要です。
■5. 心拍数
現在の心拍数のみならず、安静時や歩行時の平均心拍数も表示されます。iPhoneで心拍数の推移を確認できます。1時間単位から年単位まで対象範囲を変えられます。医師に健康状態を確認してもらったり、フィットネスでは効果的な運動強度を設定する参考にしたり、と言った用途に有用です。
■6. アクティビティ
どの程度動いているか (ムーブ)、運動しているか (エクササイズ)、立っているか (スタンド) を、三色のリングで表示します。運動習慣のモチベーション維持に有用です。
■7. カレンダー
予定をApple Watchで確認できます。予定を、1時間前とか前日とか、任意の時間に知らせてくれる機能があります。Apple Watchを装着していれば予定を見落とす事はありません。
■8. アラーム
タッチ操作の他、例えば、Apple Watchに「Hey, Siri, アラーム14時」と言うだけでアラームがセットされます。
■9. タイマー
タッチ操作の他、例えば、Apple Watchに「Hey, Siri, タイマー3分」と言うだけでタイマーが動作します。
■10. 天気
タッチ操作の他、例えば、Apple Watchに「Hey, Siri, 今日の天気は?」と言うだけで本アプリが起動し、結果を表示してくれます。
■11. マップ
タッチ操作の他、例えば、Apple Watchに「Hey, Siri, 現在地は?」と言うだけで本アプリが起動し、結果を表示してくれます。また、例えば「Hey, Siri, 山下公園まで道案内」の様に言うと道案内をしてくれ、「100m先右方向」といった表示をし、曲がる場所付近になると振動で知らせてくれます。
■12. カメラ
iPhoneのカメラ画面がApple Watchに表示され、シャッターを切る事ができます。リモート撮影で便利です。
■13. ミュージック
iPhoneで再生している曲の情報を表示したり、再生/停止、ボリューム調整などができます。iPhoneを取り出さずに、♡ (気に入った曲につけるマーク) のチェック/アンチェックができるのが便利です。Apple Watchに曲を入れて再生する事もできます。
以上、ご参考になれば幸いです。
Apple Watch Series 3 の紹介
Apple Watchとは、iPhoneとBluetooth接続して使用する事を前提とした、スマートウォッチ (腕時計型ウェアラブルデバイス) です。
現行のSeries 3は、2017年9月22日に発売されました。様々なモデルがありますが、機能で分けると、GPSモデルとGPS+Cellularモデルの2種類です。前者はiPhoneとBluetooth接続されていないと、電話を受ける事などができません。一方、後者はiPhoneとBluetooth接続されていなくとも、電話を受ける事などができます (Cellular機能) 。
GPSモデルより、GPS+Cellularモデルの方が本体価格が高いです。その上、Apple WatchでCellular機能を利用するためには、月額利用料金が発生します。前提として、日本では、ドコモ・au・ソフトバンクのいずれかでiPhoneを契約している必要があり、追加で必要なプランに加入します。iPhoneを格安スマホで使用している場合、Apple WatchのCellular機能は利用できません。
私は、一週間前にGPSモデルを購入しました。iPhoneを持たずにApple Watchのみで利用するケースに、投資する程の必要性は感じなかったため、GPS+Cellularモデルは選択しませんでした。
また、サイズで分けると、縦の長さで42mmと38mmのモデルがあります。42mmのモデルには、表示文字数が多い、タッチ操作がしやすい、といった利点があります。ただ、店頭で試着してみたところ、私には大きすぎました。私は男性ですが、体型が小柄です。日常で身に付けるものとして、シックリくると感じた38mmのモデルを選びました。
Apple Watch Series 3の主な機能を5個紹介します。
■1. アプリ
Apple Watchには、購入時に既にインストールされている標準アプリの他、iPhoneのApp Storeからサードパーティー製アプリを入手する事ができます。標準アプリには時計や電話、メール、Wallet (Apple Pay) などがあり、その他にも便利なものがあります。詳しくは改めて紹介します。サードパーティー製アプリについても、便利だと感じたものを改めて紹介します。
■2. 通知
iPhoneアプリの通知をApple Watchに通知してくれます。Apple Watchアプリが対応していないiPhoneアプリであっても、Apple Watchに通知されるメッセージだけで事足りる場合が多いです。Apple Watchに通知するiPhoneアプリは選択できます。
■3. 50m防水
Apple Watchを装着したまま、ウォータースポーツやスイミングが可能です (プールでApple Watchが使用可能なスポーツクラブあり) 。
■4. iPhoneを呼出
iPhoneに音を鳴らせる事ができます。iPhoneがなかなか見つからない時、意外と便利です。
■5. Macのロックを解除
ロックされた自分のMacにApple Watchを装着して近づくと、パスワードを入力する事なく、自動的にMacのロックが解除されます。
Apple Watchで残念な点は、毎日必要な充電です。夕食前にApple Watchを手首から外して充電しています (睡眠管理の目的で、Apple Watchを装着して寝ているため) 。今のところ、充電前のバッテリー残量は40%台で、充電は1時間くらいで完了します。食事中は電話やメール等はしないため、あまり困っていません。
ちなみに、Apple Watchのバッテリーは有償 (8,800円) で交換できます。充放電を1,000回繰り返すと、充電可能容量が80%に減少するため、約二年半がバッテリー交換の目安みたいです。
以上、ご参考になれば幸いです。
柔道と合気道〜番外編:四方投げ〜
柔道との違いという観点で合気道を紹介した際、合気道の技「四方投げ」は柔道では「禁じ手」(反則)であるという事に触れました。その際、理由は「関節を攻める投げ技」であるとしましたが、別の意味でも「四方投げ」は現代の柔道ルールに引っかかる点があると思われます。
ただ、以前の記事では、その点に言及すると話が横道に逸れてしまうと思い、省かせて頂きました。以下、私が認識する範囲で、「四方投げ」を、現代の柔道ルールに引っかかると思われる点を説明しながら紹介してみます。
技に入る際に、「四方投げ」では相手の「手首」を掴みます。柔道では、一般的に「引き手」として「柔道着の肘あたり」を掴んで投げます。手首を掴むこと自体は、即反則というわけではないのですが、手首を掴んだら5秒以内に技を施さないと指導が与えられます(国際柔道連盟試合審判規定)。
相手の手首を掴んだら、柔道の背負い投げ等とは「逆回り」に足を捌いて、相手の懐に自分の背を向けながら入ります。そして相手の「腕の下をくぐる」のですが、もしかしたら、これが柔道のルールに引っかかるかも知れません。
柔道の講道館試合審判規定には「首抜き」と呼ばれる禁止行為があります。「首抜き」とは通常に組み合った状態から、自分の襟を掴んでいる相手の腕の下に自分の頭をくぐらせ、相手の腕の外側に自分の頭を出す行為です。禁止理由は、「首抜き」をすると相手の肘関節を極め易い体勢になるから、と思われます。
「四方投げ」では相手の腕の外側から頭をくぐらせて内側に入ります。また、その際は相手に背を向けています。よって、「首抜き」とは逆方向の動きであり、体勢も異なる事から、ルールに引っかかるのか気になったのですが、全日本柔道連盟のサイトで見てみても明確にその答えは分かりませんでした。ただ、なぜか、国際柔道連盟試合審判規定では「首抜き」への言及が無いようです。
相手の懐に入り腕をくぐったら、相手の肘関節と肩関節を極める様に投げます。無論、この行為は講道館試合審判規定、国際柔道連盟試合審判規定ともに問題があります。
柔道と合気道〜後編〜
前編では、柔道と合気道の歴史に触れ、両武道に縁があったことを述べました。後編である今回は、柔道との違いという観点で合気道を紹介してみたいと思います。
柔道と合気道の違いは、稽古形態の違いに現れているかと思います。
柔道の特徴は「乱取り」にあります。柔道では危険な技を「禁じ手」(反則)として定め、安全に全力で技の応酬が行える様にしました。この稽古形態を「乱取り」と呼びます。
一方、合気道の稽古形態の基本は「型稽古」です。修練する技を決めてから、技を掛ける人、受ける人を決めて反復稽古します。
しばしば「乱取り」と「型稽古」を優劣で論じようとする方がいらっしゃいますが、それぞれの稽古形態の特徴を考察し、その特徴を生かす事が大切なのではないか、と私は思います。
「型稽古」では「乱取り」と比べて、駆け引きなどを学ぶ事は難しいかも知れません。しかし、「乱取り」では行えない危険な技を修練できる事が「型稽古」の利点の一つかと思います。
合気道の技の特徴は、相手の手首や肘、肩の関節を極めながら押さえ込んでいく流れにあるかと思います。この際に用いられる技法の多くは、柔道では「禁じ手」(反則)です。
いわば、柔道になった事により失われた柔術の技法が、合気道では今でも用いられている、と言えるかも知れません。
合気道にあって柔道ではあまり行われない技法の特徴として、関節を攻める投げ技や当て身、武器技、そして多人数を相手にする技などがあります。
関節を攻める投げ技としては、「小手返し」や「四方投げ」などが挙げられます。いずれも合気道の代表技ですが、「小手返し」は手首関節を、「四方投げ」は肘関節と肩関節を極める様に施す投げ技です。ちなみに、関節を攻める投げ技は、柔道では「禁じ手」(反則)です。
次に当て身ですが、いわば打撃技です。使用する身体の箇所に限定はありません。主に拳や手刀による打撃になりますが、例えば腰の後方による強い体当たりなども当て身の概念に含まれます。
そして武器技ですが、短刀や剣、杖(じょう:木製の棒の様な武器)で攻撃してくる相手に素手で応じる技であったり、剣や杖を用いた技、いわゆる合気剣と合気杖があります。
最後に多人数を相手にする技ですが、多人数掛けと多人数取りがあります。多人数掛けは多人数の相手に同時に身体を掴ませた場合に施す技であり、多人数取りは一斉に向かって来る多人数の相手を捌いていく技です。
ただ、柔道においても「形」と呼ばれる「型稽古」は存在し、その中で当て身や武器技があるようです。しかし、実際にどのくらい稽古されているかについては、道場や個々人に依るかも知れません。
柔道と比べるとマイナーかも知れない合気道ですが、少しでもご興味を持って頂く切っ掛けになれば、これ幸いです。