柔道と合気道〜番外編:四方投げ〜

柔道との違いという観点で合気道を紹介した際、合気道の技「四方投げ」は柔道では「禁じ手」(反則)であるという事に触れました。その際、理由は「関節を攻める投げ技」であるとしましたが、別の意味でも「四方投げ」は現代の柔道ルールに引っかかる点があると思われます。

ただ、以前の記事では、その点に言及すると話が横道に逸れてしまうと思い、省かせて頂きました。以下、私が認識する範囲で、「四方投げ」を、現代の柔道ルールに引っかかると思われる点を説明しながら紹介してみます。

技に入る際に、「四方投げ」では相手の「手首」を掴みます。柔道では、一般的に「引き手」として「柔道着の肘あたり」を掴んで投げます。手首を掴むこと自体は、即反則というわけではないのですが、手首を掴んだら5秒以内に技を施さないと指導が与えられます(国際柔道連盟試合審判規定)。

相手の手首を掴んだら、柔道の背負い投げ等とは「逆回り」に足を捌いて、相手の懐に自分の背を向けながら入ります。そして相手の「腕の下をくぐる」のですが、もしかしたら、これが柔道のルールに引っかかるかも知れません。

柔道の講道館試合審判規定には「首抜き」と呼ばれる禁止行為があります。「首抜き」とは通常に組み合った状態から、自分の襟を掴んでいる相手の腕の下に自分の頭をくぐらせ、相手の腕の外側に自分の頭を出す行為です。禁止理由は、「首抜き」をすると相手の肘関節を極め易い体勢になるから、と思われます。

四方投げ」では相手の腕の外側から頭をくぐらせて内側に入ります。また、その際は相手に背を向けています。よって、「首抜き」とは逆方向の動きであり、体勢も異なる事から、ルールに引っかかるのか気になったのですが、全日本柔道連盟のサイトで見てみても明確にその答えは分かりませんでした。ただ、なぜか、国際柔道連盟試合審判規定では「首抜き」への言及が無いようです。

相手の懐に入り腕をくぐったら、相手の肘関節と肩関節を極める様に投げます。無論、この行為は講道館試合審判規定、国際柔道連盟試合審判規定ともに問題があります。

以上、合気道の技「四方投げ」を現代の柔道ルールを参考にしながら紹介してみました。乱文にて失礼いたしました。